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『武士の家計簿』(磯田道史,新潮社,2003.04.10) [本]

副題は「加賀藩御算用者の幕末維新」。
『殿様の通信簿』との掲載順が逆になったけれど、発行順も、私が読み終えたのもこちらの本が先。
読み始めたら、さくさくと読むことができるし、おもしろいのでやめることができなかった。それくらい内容も興味深く、文章力もある作品だった。
著者は1970年岡山市生まれで、慶應義塾大学文学研究科博士課程修了、という経歴。
内容もすごく興味深く、とても意味のある研究になっていると感じた。
やはり、才能のある人は、研究生活を無駄にしないのだなぁ。

心に残ったのは、あとがきの最後にある文章。
大きな社会変動のある時代には、「今いる組織の外に出ても、必要とされる技術や能力を持っているか」が人の死活をわける。かつて家柄を誇った士族たちの多くは、過去をなつかしみ、現状に不平をいい、そして将来を不安がった。彼らに未来はきていない。栄光の加賀藩とともに美しく沈んでいったのである。一方、自分の現状をなげくより、自分の現行をなげき、社会に役立つ技術を身に付けようとした士族には、未来がきた。私は歴史家として、激動を生きたこの家族の物語を書き終え、人にも自分にも、このことだけは確信をもって静かにいえる。怖れず、まっとうなことをすれば、よいのである……。

私にとって「社会に役立つ技術」とは、なんだろうか……。
それが見つからないと、ほんとうの意味でのキャリアは形成できないよなぁ。う~む。


武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)

  • 作者: 磯田 道史
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/04/10
  • メディア: 新書



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