『本多の狐-徳川家康の秘宝』(羽太雄平,講談社,1992.01.14) [本]
第2回時代小説大賞受賞作。
隆慶一郎の影響を強く受けている作風、という評判を耳にして読んでみた。
確かに『影武者徳川家康』や『吉原御免状』に似た雰囲気を感じなくはない。
特に、本書の主人公の浮田平四郎と『吉原御免状』の松永誠一郎は、人物造形が似ていて、二人とも好ましい雰囲気ではあるが、やはり浮田平四郎の方が、造形の練り込みが甘いというか、ぼんやりしている。
ただ、式年遷宮を物語のトリックの核に持ってくる展開には唸らされた。
また、家康の秘宝に関して書かれた小説は数あれど、いわゆる秘宝らしい秘宝である金鉱床に加え、「李朝活字」という一見値打ちのないものを真の秘宝として組み込んである小説は、数少ないと思った。
その上、その「李朝活字」を天草の乱につなげた点は、見事としかいいようがない。
そんな長所は数あれど、今ひとつ物語としては評価しづらいのはなぜだろう。
再読はしないかなぁ……?
隆慶一郎の影響を強く受けている作風、という評判を耳にして読んでみた。
確かに『影武者徳川家康』や『吉原御免状』に似た雰囲気を感じなくはない。
特に、本書の主人公の浮田平四郎と『吉原御免状』の松永誠一郎は、人物造形が似ていて、二人とも好ましい雰囲気ではあるが、やはり浮田平四郎の方が、造形の練り込みが甘いというか、ぼんやりしている。
ただ、式年遷宮を物語のトリックの核に持ってくる展開には唸らされた。
また、家康の秘宝に関して書かれた小説は数あれど、いわゆる秘宝らしい秘宝である金鉱床に加え、「李朝活字」という一見値打ちのないものを真の秘宝として組み込んである小説は、数少ないと思った。
その上、その「李朝活字」を天草の乱につなげた点は、見事としかいいようがない。
そんな長所は数あれど、今ひとつ物語としては評価しづらいのはなぜだろう。
再読はしないかなぁ……?
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