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『未来の食卓』 [映画]

映画評を目にして以来、ずっと気になっていた映画。
東京で観る機会を逃してしまったので、ようやく観ることができた。
公開日は8月8日だから、4か月遅れ。なんだか感慨深い。

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映画は、南フランスのガール県にあるバルジャックという村の
「学校給食と高齢者への宅配給食を、すべてオーガニック食材を使ったものにする」
という試みを追ったドキュメンタリー。
冒頭で、パン(ブリオッシュ)を売りに来た子どもたちに、村長と神父が「オーガニックとは?」と問いかけ、少年が「自然のまま」と誇らしげに答えるシーンがとても印象的だった。

その後、場面は、パリのユネスコ本部で行われた会議での
「今の世代の子どもたちは、近代史上初めて親の世代と比べて、健康的に劣るかもしれません」
という衝撃的な発言へ。

随所で、バルジャック村の美しい景色が紹介される。
牧歌的な、典型的な農村風景に見えるのだが、その美しい光景に隠されたものを、映画は語っていく。
殺虫剤や除草剤といった農薬が、長い間に蓄積し、土壌や水源を汚染していて、その美しい村に暮らす人々にガンをはじめとする健康被害が出て、苦しんでいるというのだ。

映画は、同じ村で有機農法を営む農家と一般農法を用いる農家の主張も、正邪の判断を避けながら紹介する。
ただ、一般農法で農薬を散布する農場主に健康被害が出ていることも観客には知らされるため、一般農法の効率性を訴える農場主の姿が、自らの命を削る悲しい行為に見えるようにはなっている。
また、有機農法だけでは、必要な食糧をまかなえないだろう、という主張には、全耕作地を有機農法に切り換えれば、必要な食糧は生産できる、という研究発表を紹介していた。
それが、どこまで真実なのか、私にはわからないが……。

映画では、学校給食でオーガニックの味に慣れた子どもから影響を受けた親が、家庭の食事にオーガニックを取り入れていく様子も紹介されている。
子どものためなら、どこの国の親でも健康第一で考えるものなぁ。
『未来の食卓』という邦題は、未来の食卓を守るための活動、という意味のようだ。

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また、印象的だったのは、フィリップという10歳くらいの少年。
ニンジンが苦手だったり、
「好きなメニューは?」と問われ、「フライドポテト」と答えたり、
「僕が大好きだったフライは、もう給食に出ないの?」とのフィリップの問いに、「人工的に作られた素材を使っていたから、もう使わないんだ」とシェフが答えたり、
と、彼にとっては、昔の給食の方が懐かしいようでした。
子どものすべてが、すんなりとオーガニックの野菜好きになれるはずもない、ということのようです。
まあ、そうでしょうね。(^_^;)

有機農法などに詳しい方には物足りない内容かもしれません。
ただ、私には、オーガニック礼賛一本槍ではないバランス感覚が好ましく感じられ、毎日の食事を考え直す契機になりました。
考えさせられるいい映画でした。




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