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没後400年・特別展「長谷川等伯」(東京国立博物館) [美術]

東京国立博物館で3月23日まで開催中の特別展「長谷川等伯」を観てきました。

上野駅に着いたのが、15時過ぎ。
金曜日とはいえ、平日の午後にも関わらず、予想以上の人並みで圧倒されます。
東京国立博物館の正門前に着くと、「50分待ちです」のプラカードを持った職員の方が入場整理を行っていました。
「阿修羅」展のときの経験から、この時間帯なら待っても20分だろうと多寡をくくっていたので怯みましたが、明日からの三連休になればさらに混むことは自明の理なので、腹をくくって入館することに。
平成館に近づくにつれ、見終わって帰ってくる人の量が半端ではないことに気付きましたが、とりあえず前進。

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すでに遠くに見える、入館を待つ人混み

さすがに50分待ちだけあり、壮観と言いたくなるような人の量です。
晴れた3月半ばなので比較的楽ですが、これが暑かったり寒かったり雨だったりした日には、かなりの苦行でしょう。

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びっしりと並ぶ人々。平日なので、平均年齢はかなり高め。

「50分待ち」とのことでしたが、本を読んだりメールを書いたりしていると、40分程度で入館できました。
途中、足の悪いご老人などは優先入場されていましたが、ご夫婦や介助者の方はともかく、7~8人の団体で足の悪い人がわずかに2人、というケースが見受けられたのには、「これだけ黙々と待っている人がいるのに……」と、ちょっと不公平感を感じました。

当たり前ですが、館内は人人人……。
とりあえず、1階の休憩所で少し休んでから、展示室を目指します。
史上最大にして最上の大回顧展、と豪語するだけあり、かなりの作品点数です。
一つひとつ鑑賞していくと疲れ果てるので、とりあえず「信春」時代のものはさらっと眺めるだけにして、まず、展示室内を一周し、じっくりと鑑賞するべき作品を下見していきます。
それでも、思わず足が止まったのは「仏涅槃図」
とんでもない大きさで、平成館の天井高をして、下側の5分の1くらいは床に垂れ下がる状態になっていました。画面下部中央に入滅した釈尊の姿。それを取り囲んで嘆き悲しむ弟子たちと動物たち。しっかりとしたタッチで描かれていて、圧倒されました。

2周目では、これと決めた作品だけに絞り込んで、じっくりと鑑賞していきます。
印象に残ったのは、「千利休像」「竹林猿猴図屏風」、そして今回の主役である「松林図屏風」
ですが、一番心に響いたのは、祥雲寺の障壁画として制作された金碧画様式の「楓図壁貼付」「萩芒図屏風」でした。
特に、京都の相国寺所蔵の「萩芒図屏風」は、初めて観る作品でしたが、そのモチーフの繰り返しに圧倒されました。
刺激的な美術に慣れているはずの現代人ですら圧倒されるんですから、桃山時代の人々の受けた衝撃たるや、如何ほどのものだったのでしょうか?

休憩しながらゆっくり観て歩いたので、見終わったのは17時過ぎ。
開館時間が20時まで延長されていたので、久しぶりに本館も見ることに。

今回、初めて気がついたのは、本館の所蔵品の場合、「写真撮影禁止」という表示のない展示物は撮影できるということでした。
当然、フラッシュは厳禁です。にも関わらず、発光させて注意されている人もいましたが……。

数枚、写真を撮りましたが、その中でも気になったのは、次の2点。

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やたらと保存状態のよい不動明王像。朱色が鮮やかで美しく、造形も素晴らしい。

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長曾根虎徹作の刀(打刀)の差裏に刻まれた金象嵌。「四胴」の文字が生々しい。

ちなみに、「四胴」とは、試し切りの用語で、「4つ重ねた状態の人の胴体を切断することができた」という意味です。
その試し切りをしたのが、68歳の山野加右衛門永久という試し切りの名手として知られる人だった、ということまでわかります。
「四胴」とか「三胴」といった言葉は、知識では知っていましたが、実際に銘として刻まれているのを目にしたのは初めてだし、その刀の実物を見たのも初めてで、感動しました。
さすが「虎徹」、というところなのでしょうか……。
「四胴」の文字が金象嵌で誇らしげに刻まれていることからしても、当時の武士にとっては、かなりの自慢の品だったんでしょうね。

本館の1階と2階、さらには地階のミュージアム・ショップまで堪能して、外に出ると、もう日が暮れていました。

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夕闇に浮かぶ、ライトアップされた本館

ふと時計を見ると、19時半前。
5時間近く館内にいたことになります。
正門から外に出ると、プラカードは「20分待ち」になっていました。
日本の伝統的な美の世界を堪能した一日でした。(^_^)


東京国立博物館
http://www.tnm.go.jp/
没後400年・特別展「長谷川等伯」
http://www.tohaku400th.jp/



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