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『アバター』(AVATAR) を観てきました。 [映画]

3D大作として話題の映画『アバター』(AVATAR, 2009)を観てきました。

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『タイタニック』以来、実に12年ぶりとなるジェームズ・キャメロン監督の新作。
あの『ターミネーター』(The Terminator, 1984) と『アビス』(The Abyss, 1989) を創りあげたキャメロン監督の12年ぶりの新作なので、期待も自ずと高まります。

物語の大まかな流れは、次のとおり。

22世紀、人類は、惑星パンドラに到達、「キロ20億で売れる」という貴重な鉱物アンオブタニウム採掘のため、惑星パンドラで先住民ナヴィを懐柔する手段を探っていた。
人間と似た外見だが、全く異なる文化を持つため、交流を深めることが難しい先住民ナヴィからなんとか情報を集めるため、開発会社は科学者チームによる「アバター・プロジェクト」を計画。この計画は、人類と先住民ナヴィのDNAから遺伝子操作により「アバター」(分身)と呼ばれる人工生命体を作り、特殊な装置で神経接続(リンク)された人間がその人工生命体を遠隔操作するというもの。
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戦闘中の負傷が原因で下半身不随となり車椅子での生活を余儀なくされていた元海兵隊員ジェイクは、不測の事故で亡くなった科学者だった双子の兄に代わり、このプロジェクトへの参加を要請される。同一の遺伝子を持つ彼は、兄の遺伝子を基に作られたアバターにリンクできるからだ。
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下半身不随の治療費を得るため、ジェイクはプロジェクトへの参加を決意。5年あまりの月日を冷凍睡眠で過ごし、惑星パンドラに到着する。
アバターとリンクすることで、再び肉体の自由を得た彼に与えられた任務は、ナヴィや惑星上の生物の調査を行う科学者チームの護衛だった。しかし、その一方で、開発会社の私設軍隊の指揮官からは、海兵隊員だった経験を活かし、鉱物採掘の妨げとなっているナヴィの村に関する情報を収集、報告せよ、という影の任務も与えられていた。
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自由の利かない足の治療を約束されたジェイクは、科学者側のプロジェクトの一環としてナヴィの村で生活をしながら、村の構造や攻略ポイントに関する情報を指揮官に提供していく。
しかし、村での生活に溶け込んで行くに従い、惑星の生態系を尊重し、共生して暮らすナヴィの姿を見て、ジェイクの心は徐々にナヴィ側に傾いていく。
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数々の試練を経て、一族の一員として認められ、また、族長の娘ネイティリと恋に落ちたジェイクは、ナヴィの懐柔を断念し、アンオブタニウムの採掘の強行のためにナヴィ一掃攻撃を開始した私設軍隊に対し、パンドラを救うために、人類ではなく、ナヴィの一員として反旗を翻す……。

いやぁ、期待していたより、ずっと楽しめました。
3D大作というので、今までにもよくあった、3Dに「だけ」重点を置いた中身のない映画だったらどうしようと危惧していましたが、3D効果そのものはどちらかというと控えめ。主に画面の奥行きを表現するために使われていました。

その、今までにない画面の奥行きが、惑星パンドラの自然の美しさや壮大さを効果的に表現していて、最初は私設軍隊のスパイとして協力していたジェイクが、神秘的な精霊との遭遇や「イクラン」と呼ばれる翼竜を馴らす儀式などを経て、ナヴィの側に心を傾けていく過程に観客が共感できるようになっていたのは、脚本構成のみならず、映像処理の巧みさでしょう。

青い皮膚と大きな眼、長い尻尾を持つナヴィの外見も、最初は違和感を覚えるのですが、物語の展開に連れ、徐々にその違和感がなくなってくるのが不思議でした。

ストーリーの見せ場は、やはり、「人類から送り込まれた裏切り者」としてナヴィの一族に追放されたジェイクが、「トルーク(最後の影)」と呼ばれる巨大翼竜とリンクすることに成功し、「トルーク・マクト(最後の影を駆る者)」として、村に戻り、人類との戦いを宣言するシーンでしょう。
もう、トルークのエピソードが出てきた瞬間にわかっていた伏線ですが、無条件に感動しました。

ただ、批判的な立場を取るなら、ナヴィの団結の象徴である「トルーク・マクト」となったジェイクが呼びかけたことで、人類による侵攻とはとりあえず無関係だった部族までもが総力戦に巻き込まれることになった、とも見られます。
そういう疑問もあったので、圧倒的な武器の力に倒れていくナヴィの人たちの姿を見て、かなり心が痛みました。
まあ、その心の痛みが、最後の巻き返しを見た感動につながるので、すべてキャメロン監督の計算によるものなのでしょうが……。

映画評やブログでの評価を読んでみると、『ダンス・ウィズ・ウルブス』と同じとか、『風の谷のナウシカ』の換骨奪胎に過ぎない、という意見も多いようです。
実際、私にも『もののけ姫』とアン・マキャフリィ作の『パーンの竜騎士』のエッセンスを混ぜ合わせたように感じられました。
ただ、それは、オーソドックスな貴種流離譚であれば、どの物語にも共通する構造を踏襲しているからで、この物語はこの物語として、完成度の高い作品だと思います。

1995年には本作の脚本が完成していたにも関わらず、映像化されるまでに10年以上を要した、この『アバター』。
1995年当時のCG等の技術では、自分のイメージを具体化できないと考えたキャメロン監督が、『タイタニック』の記録的な成功の後、資金提供を含めて3D撮影の技術開発に積極的に関わり、造りあげただけのことはあります。
ぜひ、映画館で、3Dで鑑賞してください。

ただ、ひとつ気になる点があります。

それは、作品の質とは直接の関係はないのですが、肝心要の3D専用メガネ。
XPAND社のシステム(液晶シャッター方式)なので、構造上、やむを得ないとは思いますが、かなり無骨な造りで、かつ、重いです。
私の場合、近視のメガネの上にかけざるを得なかったので、安定が悪く、ずっと指で支え続けることになりました。

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また、鑑賞料金(2,100円 = 通常料金:1,800円 + 3Dメガネ:300円)に、3Dメガネの利用料(300円)をしっかりと上乗せしているにも関わらず、配られたメガネのレンズは、指紋でベタベタというか、かなり汚れていました。
ポップコーンを食べた指ででも触ったのか、持っていたトレシー(眼鏡拭きの布)で拭いてみても、あまり効果なし。
そのため、鑑賞中、3Dメガネの角度によっては、時々、変な具合に光が映り込むことがあり、かなり気になりました。

ということで、これから、Movix等のXPAND社のシステムを導入している劇場でご覧になる予定の方は、
1. 近視等の方は、できればコンタクト・レンズに切り換える
2. 眼鏡クリーナーを持参する
といった対策を取られることをお薦めします。(^_^;)

……それにしても、ナヴィの後頭部から延びている髪の房の中の神経繊維のような触角で、動物や樹とリンクできる、というのは、うらやましい能力ですねぇ。

アバター公式サイト
http://movies.foxjapan.com/avatar/


■関連記事
『アバター』、上海でとんでもない人気に。
 http://fallon.blog.so-net.ne.jp/2010-01-13

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sig

はじめまして。
3Dに興味があるので、観に行く予定です。
詳しい情報、ありがとうございました。

by sig (2010-01-04 00:21) 

せつな

>sig様
コメント、ありがとうございました。
ネタバレの内容になっていて、ごめんなさい。
映画、楽しんできてください。
by せつな (2010-01-04 23:24) 

yakki

この週末2階回目行きたいです!!
by yakki (2010-01-06 09:09) 

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