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瀬戸内国際芸術祭2010 - 小豆島 (2) 土と生命の図書館 [美術]

 香川県の直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、高松港周辺、岡山県の犬島を会場に、7月19日から10月31日まで開催されている「瀬戸内国際芸術祭2010」に行ってきました。
 直島や犬島は何度か足を運んだことがあったので、手始めに、あまり馴染みのない小豆島へ。

 岡山からのフェリーで土庄港に到着後、芸術祭線のバスで、肥土山・中山地区に移動。
 常盤橋前のバス停で降りてすぐ左手の倉庫(旧大鐸米倉庫)の中にある「心の巨人」を見終わった後、道路を隔てて向かいにある旧大鐸小学校へ向かいます。
 この廃校となった小学校の2階の図書館にある作品が、栗田宏一の「土と生命の図書館」。
 瀬戸内海の沿岸の随所で採取した土を採取した順番に和紙の上に並べた、という、その説明だけを聞くと、なんのことはない作品のように思われますが、その幾何学的なパターンというか、色彩の豊かさに圧倒されました。

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 近寄ってみると、こんな感じ。
 ほんとうに和紙の上に土が載せられて(盛られて)いるだけです。

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 展示会場にいらしたガイドの方から聞いたお話によると、この作品は、その性質上、極端に風に弱い(飛ばされてしまう)ので、図書館を閉め切って、この作品だけは特別に空調をかけている、とのことでした。
 実際、小豆島にある他の作品は、例え屋内にある作品(つぎつぎきんつぎ)でも空調とは無縁でした。

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 図書館の黒板には、作者の栗田氏による解説が書かれていました。
 転記すると、次のとおり。

土と生命の図書館
  • 土は和紙のうえにのせてあるだけです。さわらないでね!
  • 瀬戸内海に面した土地、および瀬戸内海に流れ込むすべての河川の流域で採集した土です。兵庫県、岡山県、香川県、愛媛県、広島県、山口県、福岡県、大分県のおよそ350市町村で採集した600の土。
  • 採集した後、乾燥させ、根っこや葉っぱをピンセットでつまみ出しただけで、色をつけたりしていない自然のままの土です。
  • 田んぼや畑、ガケなどから片手にひとにぎりだけ採集します
  • 並べてある順番は、採集した順番のままです
  • どうして土を拾うのでしょうか? みなさんで考えてみましょう!

 それぞれは、なんの変哲もないように見えるタイル状に並べられた土が、全体で見ると、素晴らしいグラデーションとコントラストを作り出していました。
 なにより、そのグラデーションが作為的なものではなく、採取した順番で並べただけで構成されていることに驚かされ、しばらく見入ってしまいました。
 角度に寄って濃淡や色合いが変わりますので、足を運ばれる方は、ぜひゆっくりと、いろんな角度から堪能してみてください。飽きません。
 ……空調が効いていて、涼しいですし。(^_^;)

 この旧大鐸小学校には、他にも公式グッズを買えるコーナーもあり、また、中国系の作家の手になる作品も展示されていました。
 元は校長室らしい部屋の雰囲気を活かし、七夕の笹の代わりに壁面に貼られた小さい手袋の中に願い事などを書いた緑色の紙を差していく、という参加型の作品でした。

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Today's Tips
 芸術祭を効率的に回るなら、美術手帖2010年6月号増刊の『瀬戸内国際芸術祭2010 公式ガイドブック-アートをめぐる旅・完全ガイド』(1,260円)を事前に入手されておくことをオススメします。
 作品解説ばかりでなく、移動等に必要となる情報の全て(といっても過言ではない)が網羅されており、少なくとも小豆島に関するかぎり、公式ガイドブックに記されていない情報はない、と断言できるほどの完成度です。
 実際、鑑賞者の方以外にも、会場で案内をされている方(ボランティア・ガイドの方?)でも多くの方が持たれていて、無数のポストイットが貼り込まれ、使い込まれた趣になっている本の姿から、そのお役立ち度がうかがえました。

美術手帖6月号増刊 瀬戸内国際芸術祭2010公式ガイドブック

美術手帖6月号増刊 瀬戸内国際芸術祭2010公式ガイドブック

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 美術出版社
  • 発売日: 2010/06/15
  • メディア: 雑誌

 第3回に続きます。

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