『23分間の奇跡』(ジェームズ・クラベル,集英社,1983.09.25) [本]
原題は“The Children's Story... - but not just for children”。
舞台は、いつかの時代の、どこかの国の小学校。
9時ちょうどに入ってきた新しい先生が9時23分には、生徒たちに新しい価値観を植え付ける。それも、極めて平和的に。
そのあまりの静かな変化が恐かった。
以下、一部、引用。
舞台は、いつかの時代の、どこかの国の小学校。
9時ちょうどに入ってきた新しい先生が9時23分には、生徒たちに新しい価値観を植え付ける。それも、極めて平和的に。
そのあまりの静かな変化が恐かった。
以下、一部、引用。
先生は、みんながキャンディを、たべおわるのを待っていた。ここまでのやりかたは、すべて教えられたとおりに運んだまでのことだ。しかし、これで子どもたちはあたしのいうことをよくきくようになり、りっぱな市民として育っていくだろうと思った。先生は窓から外を見た。日が、さんさんとあたっている。広い、すばらしい土地だ。この土地を胸いっぱい吸いこむのだ。でも先生の胸が熱くなってきたのは、さんさんとあたる太陽のせいではなかった。先生は、この学校の、いや、この土地の、すべての子どもたち、すべての男や女たちが、おなじ信念をもって、おなじような手順のもとに、教育されていくであろうことを思うと、胸が熱くなるのだ。その手順は、年齢のグループによっても、要求のどあいによってもちがうけれど。
先生は、うでどけいを、ちらと見た。
九時二十三ぷんだった。